A Stranger Of Mine(PFF(ぴあフィルムフェスティバル)公式サイト)

昨日はお昼前から職安へ行った。
 最近は、職安に行った時の何とも言えない失業者気分というかうらぶれ感を味わった後で、自分へのご褒美として、その後は映画を観に行くことにしている。失業者気分というより、れっきと事実はそうなんだけどね(^^;。
 いつも行っている職安が土曜日も開いているということを知って、平日に行くより、うらぶれ感が薄まるというワケの判らん脳内理由で土曜日に行くことが多くなった。ほら、なんか休日気分をエンジョイできるしな。
 で、職安を出てから、「ライフ・イズ・ミラクル」(http://www.gaga.ne.jp/lifeismiracle/)でも観ようかと思ったのだけど、昼メシを食った後だと、ちと時間が合わない。2時間30分余りあるので、午後一を逃がすと、次は夕方になるしなー。で、予定を変更して「運命じゃない人」を観ることにする。
 電車に乗り、某駅を降り、某坂を登って、某映画館に到着。ここもそうだが、ミニシアターの雰囲気って大好きで、置いてあるチラシや映画好きの人が書いたと思われるポップの解説を見たりするのは時間がいくらあっても飽きない。
 どんな雰囲気かと言われると、一人で来る映画好きが結構居て、ロッキーホラーショーを上映すると皆がクラッカー持ってやってきて、特集上映の時は館主の趣味がモロに出るような映画館なんだけど・・・、しかし、こう書くと、さっぱり良い場所に思えんな(^^;。
 まあ、たまにスノッブ的なところが鼻に付くのと、業界受けのする映画の時だと、客層がいけ好かない連中になるのは堪らんが、好き好んで来てるのは漏れなので、他人のことは言えまい。
 で、上映時間まで30分程あったので、まだ見てない公開前の映画のチラシやらを茶を飲みながら眺めるとする。
 あ、そうそう、ミニシアターは好きだけど、唯一の不満はアルコールを置いてあるところが、極度に少ないこと(w。ライブハウスで酒無し・禁煙なのは犯罪だと思うが、映画好きな方はそんなこと思わないのだろうか?
 なので、この点ではシネコンマンセーだったりする。自分では食べないけど、あの過剰なキャラメル・ポップコーンの匂いも、嫌いではないし、何より、ビールサーバーが必ず、置いてあるしね。
 上映開始時間が近付いたので、整理番号順に並んで入場する。座席に座ると、後ろからゾロゾロと人が一杯、入ってきて、なんと満員御礼状態になる。結構な人数が地べたに座布団引いて体育座りしているのを見ると、なんだか小学校の体育館でやってた映画鑑賞会みたい。
 肝心の映画自体は、うだつのあがらないサラリーマンの週末のある一夜の出来事を周辺人物の視点毎に時系列を入れ替えつつ、描いていくコメディでした。と、こう書くと、小賢しいんだけど、滅茶苦茶、判り易くて面白かった。
 一つのシーンを主人公、主人公の友人の探偵、主人公の元彼女にして詐欺師の姉ちゃん、たまたまナンパされた姉ちゃん、ヤクザの組長(詐欺師の姉ちゃんは情夫)の各々の視点で見せていく。
 視点が変わる度にタネ明かしがあって、構成の妙で会場はかなりウケてたし、コメディとして本当に上質だわ。また、主人公以外の人間は、カネを巡るトラブルのせいで奔走しているのに、主人公は何も知らないし、そのトラブルに全く関連が無いというギャップが随所で笑いの起爆剤になっている。
 他の登場人物と袖刷り合っているか、友人・元彼女であるというだけで、本人は相変わらず、何をしても間が悪いというか、只のお人好しだったりする。なので、主人公視点の多かった序盤は結構、観ていてイライラするが、同じシーンを他の人物視点で編集すると、そのギャップが堪らなく面白い。うん、笑いの王道だよ。
 時系列を弄くる演出って、タラちゃんっぽい撮り方なんだけど、あっちみたくサブカル受けするネタを散りばめているわけじゃなく、ストレートに笑えるというのが逆に凄くユニーク。映画好きに好かれるだけで、普通のおっちゃん・おばちゃんを笑わさないでどうするよ?そういう意味で、上映拡大するべき映画だわ、素直に面白いもん。
 ラストにしても、ありがちな「無垢で欲をぶっこかない善人は救われる」ってなもんで無いので好感が持てる。かといって、不幸のどん底ってワケでもないしな。
 多分、相変わらず、主人公はあの調子であのまんまなんだろう。人格とそれを持つ人間に降りかかる幸福や災難の総量なんざは何の関連も無いもんだ。