The Nomi Song(http://www.elephant-picture.jp/nomi/)

昨日のエントリーで映画のことを書いたので、もう一つついでに。7月の頭に観たけど、なんとなく書きそびれていたので、ついでに触れとく。
 この映画のタイトルを何度もレミ・ソングと間違えて言ってしまって、判っちゃいるんだけど止まらない。きっと、神森徹也の唄のレミレミレミレミゴーの一節が、頭の片隅に強制的に残ってるせいだと思う。どれくらい残ってるかというと、ヨドバシカメラの「真ん中通るは中央線〜」と同じくらい耳にこびり付いてるので、もうどうしようもない。なので、今後も誰かと会って、この映画のことを何かの拍子で喋ろうとすると、きっとまたレミ・ソングと言ってしまうと思う(^^;。
 実はリアルタイムでクラウス・ノミ自体も作品も知っていたワケじゃなく、観に行った動機は単純に、ノミがボウイ先生と共演したSNLでの’世界を売った男’と’TVC15’の映像が観たかっただけだったりする。
 CMやらプレスでもボウイ先生をやたらめったら強調していたので、てっきりボウイ先生のノミに関するインタビューとかがあるのかと思いきや、そんなものは無かった、orz。おまけに、ボウイ先生の映像自体もほんの数分だったりしたので、そういう意味ではガカーリでした。
 只、映画自体はルックスも才能も異形で有り過ぎた当人のキャラクターを、冒頭とラストの映画らしい手法で手堅くまとめた良い作品でした。まあ、演出の引用元に言及するのは野暮ってもんだ。
 エイズで死んだ最初の著名なアーティストってなお涙頂戴な演出では無く、バンドメンバーのあからさなまな告白(楽曲をパクられた云々)や、本人が無知過ぎた故に生じた契約面の問題も触れているし、ドキュメントとしても秀逸な出来かな。
 三角禿、奇抜なメイク、冗談としか思えないステージ衣装、奇を衒うだけでない歌唱の圧倒的な才能が当時の玉石混合、いやむしろ結果的には石ばっかりだったポスト・パンクのシーンで注目されたのは想像に難くない。
 ポップミュージックにとってルックスは確かに大事なんだけど、よりによって、こうもインパクトがあるというか金田一のスケキヨ級に不気味なメイクとファッションで、音楽はNWっぽいビートにカウンターテナーで唄うんだから、こりゃ凄い。今、普通に見ても十二分に異形だよ。
 映画でも資料価値のある映像でパフォーマンスを堪能出来るので、これを観るだけでもオススメです。
 率直なノミ感としては、死因やオペラ好きってなところを抜きにしても、フレディと似てるよなあ、と何となく思う。カーペンターズのカレンといいフレディといい、漂白されまくったブルーズ臭の欠片も無い偉大な才能って、なんだか病的に観念的過ぎる悲哀を生き様にも作品にも感じるのは気のせいだろうか?