ヒトラー〜最後の12日間〜(http://www.hitler-movie.jp/)

ラーメン屋で携帯でチマチマとニュースを見ると、当面は電車も動かんということで、ついでに、もう一本映画を見て時間潰しをすることに。
 漫喫という選択肢もあったけど、目だったところに見つからなかったので諦める。10年前は漫喫だらけたった気もするけど、10年大昔なのであろう筈も無い。
 他になんか観たいのがあったかなーとぴあを読むと、丁度、「ヒトラー〜」が目に入ったので、パルコ近辺へ移動。
 ここはアルコール有りなので、エビスと水を買って座席に座る。長丁場の映画だったけど、そこそこ面白かった。
 何よりも・・・

ブルーノ・ガンツヒトラーが凄いよ、憑依してるみたい!!
・登場人物がやたらめったら煙草を旨そうに吸う!!

 この2点が強烈に印象に残ったな。スチールで見た時も凄かったけど、ガンツ似過ぎだわ。「ベルリン・天使の詩」のイメージが引っくり返るな。
 で、煙草販売会社がスポンサー?ってなくらいに、ユンゲとエヴァが一服しまくるんだ。嫌煙ブームのこのご時世に、これだけ旨そうに煙草を吸うのは女優さんのイメージダウンにならんのか?ってなくらいにモクモクしてました。
 肝心の映画の内容は、世界史で習うナチスの対ユダヤ人政策やホロコーストといった歴史的事象にはフォーカスせず、ユンゲの視点で敗色濃厚な組織の中核に流れる怠惰、離反、諦念を、SSの少年兵の視点で現場は只、犬死をしていくといった姿を写す。
 世界征服なんか企てたことは勿論、無いけど、もうダメポな組織がやけっぱちの享楽に陥って負のスパイラルになるってのはどこも同じなんだよなあ・・・。
 傍観者であるユンゲ自体の描き方が魅力ある女性というわけでは無く、意図的に感情移入を避けた(ナチ賛美と受け取られかねない)演出なので、淡々と腐っていく様を観ることが出来た。
 でね、ナチスがやった所業の是非以前に、ある意味こうなるのを選択したのは民主主義のルールとやらに則り、支持した国民なんだよな。
 何の脈絡も無く、極悪非道なファシストがある日突然、やって来て政権を牛耳り、圧政を強いるってなことは有り得ない。EP3のシスだってそうだしね。
 ワイマール憲法の下で、ナチ党が政権を掌握するまでの経緯ってEP3っぽく無い?
 村上龍がよくエッセイで書いてるように、国家やマスメディアが大衆の意志を汲んだコンテキストをアナウンスしなければ、その反動で極端な方向に流れるのは当為のことだろう。
 まあそんな堅苦しいお話以前に、表現の世界では描く価値があるにも関わらず、禁忌のテーマだっただけに金を払って観る価値は存分にありましたぜ。
 (追記)ゲッベルスより奥さんの方がより狂信的でイカれているのは非常に興味深かった。稀代の宣伝大臣が実はカミさんの尻の下どころか、眼中にされてないって感じなのは教科書に載ってたっけ?