Raven「限り無く赤に近い黒」(ISBN:B0001NQ8ES)

どわぁぁぁぁああっ!かっけえええ♪
Blankey Jet City’強面獰猛ベース’照井利幸のソロ作、クレジットを見ると’人力ブレイクビーツ鬼太鼓’中村達也、元Michelle Gun Elephantのチバユウスケ、すわ、二代目BJC襲名披露ですか?と思った私は悪しき古のBlankeyファンです。
 Rossoのいかにもオルタナなゴツゴツした荒削りなミキシングが気になったのでリリース前には危惧したんだけど、何のことは無い、照井本人が唄ってる楽曲に代表されるように3ピースのロックバンド以外のイディオムがふんだんに使われていてラフでいて物凄くアレンジが練られている緩急自在繊細などえらく格好良いロックアルバムです。
 「Demonstration」なんかはアコギのリフとプログラミング&ノイズだけでグイグイ引っ張ってく妙なスキャットだし、隙間アリアリすっかすかが格好良いエレクトロニカな「Sugar Cube」、知らなくても聴くだけで’達也’だ!と判る「Voodoo Club」なんかはフロアの人垣がポップコーンみたいに跳ねるのが想像出来るわな。
 「Chevy」もチバの闇雲な言葉の洪水の中からカットアップされる歌詞の必殺の一行が炸裂しとるし、照井作曲とはいえ、他人が唄うのは(ベンジーですら)想像できんな。
 初期BJCで土屋昌巳が体現しようとしてたお化粧やら退廃的な演出・小道具一切無しに達成するデカダンで荒っぽくて繊細な感じを久々に思い出した。
でも、もっと若い世代の邦楽ロックって全然、買ってない自分って、もうすっかり感性のお風呂の水が溢れて飽和状態なのかな?
 過去からの引用というか引き出しを使って昇華させるのは手本が多い分、若手のバンドの方が得意な筈なんだけど、まるでキャンプファイアーで皆で唄うような白々しい薄っぺらな友情だの希望だのを自分達の親世代が発明した3コードに乗っけてギャンギャンわめいた上にあげくに’俺達パンク’ですか?って感じで全く興味を惹かれん、努力して新しい邦楽ロックも聴こうとはするんだけどね。
 「新しい時代を創るのは老人ではない!!」はずなんだが・・・
 ジャンル違いだしティーンのアイドルかもしれんが、物凄いスキルと悪意120%のライムで徹底的に他人をディスりまくり、きっちりセールスを挙げ、マスを掴み、映画もヒットさせるEMINEMの方がよっぽど正しくパンクですわ、あーD12待ち遠しい♪